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輔行訣肝病から日常漢方処方へ

漢方医学

 現代社会において、肝胆に関わる疾患は非常に多い。例えば怒りや恐れ、不安感とそれに続発してくる諸症状への治療がまさにこの方剤群の一八番だ。よって輔行訣肝病はすぐにでも日常漢方外来での活用が望まれる知見である。

 ところで、肝病といえば腹証の胸脇苦満。すなわち心下から季肋部の抵抗圧痛は、隔(膜)の病理を反影している(江部洋一郎 経方医学1 p86)。まさに肝病の所見である。その場合柴胡剤あるいは柴胡を加える場面が確かに多い。しかしここで膈に病理があるからと言って脊髄反射的に柴胡を投入してはならない。私が学んだ輔行訣の肝病はまさに膈不利の原因を見極めよ、と言うことに尽きる。

 膈邪がある場合それが外邪であればやはり柴胡を入れるべきだろう。その場合胸から膈を通じて皮気へ衛気を出し膈は疎胆、邪は外表されることになる。

 しかしその一方で内生による膈邪であれば小腸大腸へ行くイメージで疎胆して治することも可能であることをこの経で承知した。これは一種の下法なのかもしれない。ただし実際下痢するかどうかは分からない。

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