何はともあれ時間泥棒の定義についてを語らなくてはならない。
いや大層なことはない。イメージ通りである。
あっという間に時間が先に進む、時間が経つのを忘れる。そんな状態に陥れられる「何か」を時間泥棒と呼ぶ。
一度時間泥棒に捕まると、始末に負えなくなる。ご想像通りやりたいこと、それどころかやるべき事ができなくなるからだ。古くはドラクエやFF何かもそうだった。
勿論実際には自分が悪い。何故ならちゃんと踏ん切りつかないから。けじめをつけられないのは私自身が弱いから。
『本所おけら長屋(畑山健二著)』は江戸に住む貧乏長屋で起こるドタバタ喜劇。
私、院長、そして運転手さんまでおけら長屋の大ファン。
私は岩手のラジオ局IBCラジオの番組でこの作品を知った。院長の紹介だ。というのも病院の送迎車でラジコで録音した「本所オケラ長屋」を車のオーディオにBluetoothでiPhoneを繋ぎ、院長が流してくれるのだ。ちょうど駅から病院までの間で一話分。そんなわけで車の送迎時間は私としては極楽タイムであった。
そして本も凄く面白い。
これがまさに時間泥棒だ。
本屋で立ち読みしたらあっという間に小一時間過ぎていた。だから油断できない。と言えば面白さは伝わるだろうか。
この本を全巻揃えるのはよそう。もし全20冊揃えたら一気に時間がなくなってしまう。そういうわけで私は買いたい気持ちを心の底に沈めて生きていた。
そんな中少し前、院長からおけら長屋外伝を借り受けた。20冊以外の外伝だ。
その上読み終わったら、おけらファンの運転手さんに渡すように申しつけられた。
聞けば院長は間違えてこの本を2冊買ったという。最終的には頂けるとのことだ。誠にありがたい話だ。
しかし時間泥棒「おけら長屋」を畏れた私はなかなか読めず。結果放っておいてしばらく忘れていた。
突然天は試練を私に与えたもうた。
時間は待ってくれなかった。
今朝、その運転手さん今週末で退職すると突然報告された。
これは本当にやばい。
時間泥棒やってこい。一気に読み切ってやる。
思った通り二時間程度があっという間に過ぎた。やはり時間泥棒だった。
胸にジーンとくる話、ニヤニヤする話目白押し。
間に合って良かった。
この本を運転手さんに渡そう。
餞別「おけら長屋」だ。
Aさんありがとう。いつまでもお元気で。
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