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経方医学

漢方医学

その腹痛寒さにつき

とても寒くなってきた。冬期の急激な冷え込みに伴い、激しい腹痛や機能不全を呈する「寒疝(かんせん)」の症例に気を配る必要がある。 唐代の医学全書『外台秘要方』には、寒疝が「生命に関わる強烈な冷えの凝集」として定義され、陽気を回復させることの重...
漢方医学

COVID-19後の「死ぬほどだるい」倦怠感に、なぜ補気剤が効かないのか――「ガス欠の車」と四逆湯類

COVID-19のパンデミック以降、外来で増えている訴えの一つに、尋常ではないレベルの「倦怠感」がある。「だるくて風呂にも入れない」「一日中、横になっていても回復しない」「動こうとすると、鉛のように体が重い」こうした症状に対し、一般的には『...
漢方医学

大気下陥における数脈の機序―肺の虚と胃気の鼓舞

今回の経方医学研究会での発表において、肝になる部分はここだろう。 小児の倦怠感の症例。数脈(さくみゃく)下において脈状が定まらない状態を「参伍不調(さんごふちょう)」と捉えた。症状とこの参伍不調から「大気下陥(たいきげかん)」の適応と判断し...
漢方医学

【症例検討】チック症状:煎じ薬なら

先日、東洋医学学会誌にて非常に興味深い症例報告を拝読した。 西洋医学的な薬物療法で改善しなかった「持続性チック(口や瞼が勝手に動く)」に対し、漢方のエキス製剤を駆使して著効を得たという報告である。 治療された先生の弁証(診断)と、エキス剤の...
漢方医学

【脈診】お見通し

「あれ? 喉、乾いてますね?」 「はい。乾いてます。先生は何でもお見通しなんですね」 診察中、以前の脈と変化があったため尋ねたところ、そんな返事が返ってきた。以前の私は、脈診だけで次々と症状を言い当てる先生を見て「すごいな」と思っていた。 ...
漢方医学

【経方医学研究会】発表症例はひとつ

抄録の内容がついに決定した。経方医学研究会での発表についてだが、ルールは「1つの発表につき症例は1つ」とのこと。 持ち時間はトータルで30分。内訳は発表15分、質疑応答15分だという。なげー。正直、長い。 まあ、そうする条件と言うことだから...
東洋医学

【経方医学】懐かしい感触

普段あまり、というか全くと言って良いほど、経方医学について口にすることはない。他の医師からエキス剤についての問い合わせは少なくないが、なぜ効くのかといった理論的な話にまでは踏み込まない。このブログで症例報告をすることはあっても、かつてのよう...
漢方医学

3年目の人参湯

80代の女性が外来を訪れた。「X医院で胃カメラ検査を受けたが異常はなく、『かかりつけ医に診てもらうように』と言われた」とのことである。一見して、事情が飲み込めない。患者の表情には、焦燥感と諦めが入り混じったような色が浮かんでいる。落ち着いて...
漢方医学

昇陥湯を導入した膀胱刺激症状、倦怠感の症例その後

先週紹介した、倦怠感と膀胱刺激症状を呈する患者さんである。  以前報告したとおり、西洋医学的に泌尿器科と連携して治療を進めていたが、症状は小康状態を保つも著効とは言えなかった。そのような中、その症状が大まかに昇陥湯の証であることに気づいた。...
漢方医学

范志良版『輔行訣』心臓病病条文と日本語意訳

本稿では、范志良版『輔行訣』における心臓病証に関する条文を引用し、その現代日本語訳を提示する。辨心臓病証文并方心虚则悲不已,实则笑不休。心病者,心胸内痛,胁下支满,膺背肩胛间痛,两臂内痛,虚则胸腹胁下与腰相引而痛。取其经手少阴、太阳及舌下血...