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経方医学

漢方医学

「さもありなん」の症例報告

先日、痺れだ痹症だと色々と書いた。 そういえば他に、黄耆桂枝五物湯の方意を使った症例はないものかと、手持ちの資料を探していた。すると、『漢方の臨床』2024年5月号(p.71)に目が止まった。「足のむずむず症候群」、恐らくレストレスレッグス...
漢方医学

痺れは黄耆桂枝五物湯へ回帰

傷寒論、金匱要略は紐解くたびに新しいテーマや知見を導いてくれる。 黄耆桂枝五物湯は金匱要略の「血痺虚労病」篇に登場する方剤だ。 不思議な処方である反面、これまではあまり重要視してこなかった。「尊栄人(そんえいじん)」に適用される、つまり運動...
漢方医学

その腹痛寒さにつき

とても寒くなってきた。冬期の急激な冷え込みに伴い、激しい腹痛や機能不全を呈する「寒疝(かんせん)」の症例に気を配る必要がある。 唐代の医学全書『外台秘要方』には、寒疝が「生命に関わる強烈な冷えの凝集」として定義され、陽気を回復させることの重...
漢方医学

COVID-19後の「死ぬほどだるい」倦怠感に、なぜ補気剤が効かないのか――「ガス欠の車」と四逆湯類

COVID-19のパンデミック以降、外来で増えている訴えの一つに、尋常ではないレベルの「倦怠感」がある。「だるくて風呂にも入れない」「一日中、横になっていても回復しない」「動こうとすると、鉛のように体が重い」こうした症状に対し、一般的には『...
漢方医学

大気下陥における数脈の機序―肺の虚と胃気の鼓舞

今回の経方医学研究会での発表において、肝になる部分はここだろう。 小児の倦怠感の症例。数脈(さくみゃく)下において脈状が定まらない状態を「参伍不調(さんごふちょう)」と捉えた。症状とこの参伍不調から「大気下陥(たいきげかん)」の適応と判断し...
漢方医学

【症例検討】チック症状:煎じ薬なら

先日、東洋医学学会誌にて非常に興味深い症例報告を拝読した。 西洋医学的な薬物療法で改善しなかった「持続性チック(口や瞼が勝手に動く)」に対し、漢方のエキス製剤を駆使して著効を得たという報告である。 治療された先生の弁証(診断)と、エキス剤の...
漢方医学

【脈診】お見通し

「あれ? 喉、乾いてますね?」 「はい。乾いてます。先生は何でもお見通しなんですね」 診察中、以前の脈と変化があったため尋ねたところ、そんな返事が返ってきた。以前の私は、脈診だけで次々と症状を言い当てる先生を見て「すごいな」と思っていた。 ...
漢方医学

【経方医学研究会】発表症例はひとつ

抄録の内容がついに決定した。経方医学研究会での発表についてだが、ルールは「1つの発表につき症例は1つ」とのこと。 持ち時間はトータルで30分。内訳は発表15分、質疑応答15分だという。なげー。正直、長い。 まあ、そうする条件と言うことだから...
東洋医学

【経方医学】懐かしい感触

普段あまり、というか全くと言って良いほど、経方医学について口にすることはない。他の医師からエキス剤についての問い合わせは少なくないが、なぜ効くのかといった理論的な話にまでは踏み込まない。このブログで症例報告をすることはあっても、かつてのよう...
漢方医学

3年目の人参湯

80代の女性が外来を訪れた。「X医院で胃カメラ検査を受けたが異常はなく、『かかりつけ医に診てもらうように』と言われた」とのことである。一見して、事情が飲み込めない。患者の表情には、焦燥感と諦めが入り混じったような色が浮かんでいる。落ち着いて...