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Google Drive化の試み(その4)——「プレビュー」で束を繰り、4000枚の臨界点を待つ

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  1. Google Driveで「束」を再現する

前回の問いに戻ろう。Google Driveで、あの物理的なカードの束を繰る(くる)感触は再現できるのか。

結論から言えば、**「プレビュー機能」**がその答えだ。

具体的なワークフローはこうだ。

まず、大枠のテーマのインデックス(キーワード)を参照し、ここかなと思われる語句をGoogle Driveの検索窓に打ち込む。

ここで重要なのは、ファイルを一つずつ開かないことだ。検索結果リストに対し、Google Driveの「プレビュー機能(キーボードの『P』や目のアイコン)」を作動させる。

矢印キーで次々とプレビューを送っていく動作。これこそが、デジタルにおける「カードを繰る」体験にほかならない。

中身をパラパラと確認し、「ここだ!」という文脈を見つけた瞬間に、作成中のメモとリンクさせる。もし執筆中のプロダクトがあれば、例のTarget:タグを使って即座に接続する。

この高速なプレビュー巡回こそが、私がGoogle Driveに見出した「対話」のインターフェースである。

  1. パートナーとなるための「3つの要素」

Zettelkastenが単なる倉庫ではなく、対話可能なパートナーとなるためには、以下の3つの要素が不可欠だと考える。

  1. 投入の工夫: 既存の文脈にどう接続するか(=プレビューによる探索)。
  2. 観察と出力: 箱の内部で起きている動態(ダイナミクス)を観察し、そこから驚きを得ること。
  3. 熟成の時間: システムが臨界点に達するまでの物理的な量と時間。

1つ目の「投入」はプレビュー機能で解決した。問題は残りの2つ、特に「熟成」である。

  1. 4380枚の壁

2つ目の「内部動態の観察」——つまり、システムが予想外の組み合わせを提示してくる現象は、まだ私のGoogle Driveでは起きていない。

なぜか。それは圧倒的に「量」が足りないからだ。Zettelkastenが対話相手として覚醒するまでには、ある程度の枚数と期間が必要なのだ。

偉大なるブックメーカー、ルーマン氏のペースを参考に試算してみよう。

仮に1日5枚の新規永久保存メモ(Permanent Notes)を作成するとする。

その生活を2年間続けたとして、$5枚 \times 365日 \times 2年 = 3,650枚$。

最低でも4,000枚〜5,000枚。これが「臨界点」の目安となるだろう。

  1. 結論:その時、何が見えるか

数年後、私のGoogle Driveに4,380枚以上の相互リンクされたファイルが蓄積された時、果たしてそこにはどのような景色が広がっているのか。

ルーマンが体験したような「驚き(Irritation)」は生まれているのか。それとも、単なるゴミの山か。

正直に言おう。それは今のところは分からない。

だが、分からないからこそ、やる価値がある。

今日からまた、1枚のメモをプレビューの束の中に滑り込ませる。その積み重ねの先にしか、Zettelkastenというパートナーは現れないのだから。

 

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