二陳湯で肩こりを治したことがある。
まだ、二例目はない。
もう10年ほど前だ。
50歳代の女性。少しふくよかで、ストレスは強かったものの元気いっぱいの方だった。
肩こりに対して葛根湯エキス剤は無効。
生薬処方が不可能であった当時、諦めてもらった。
刺絡で症状はいったん抑えた。
その後しばらくして具体的にはもはや覚えていないのだが、「別の症状」に二陳湯を処方。
すると肩こりが治ったと喜んでおられた。
その「別の症状」も良くなり、それが治った後二陳湯を処方終了しようとすると、肩こりを治療するために続けたいとおっしゃった。
二陳湯の配薬は陳皮・半夏・茯苓・甘草・生姜。
経方医学で解説すると、甘草で守胃して生姜で胃気を高める。茯苓で肺や胸水の余分な津液を尿に導く。また半夏生姜で心下や胃の痰飲を捌く。そして、陳皮は…。
経方医学で陳皮は橘皮に当たる(経方薬論p31)。
経方医学の師匠曰く、陳皮は橘皮を干したもの。橘皮の方がより効果がある。
だから陳皮も橘皮もまあ同じようなものとして話を進める。
橘皮の薬効をみると行気、下気、消穀、開胃、化飲。
経方医学で橘皮は、方剤として橘皮湯(経方医学6 p97)、橘皮枳実生姜湯橘皮湯(経方医学6 p99)に配薬されている。
両方剤とも逆気に対する降逆作用と胃の化痰作用に橘皮を用いている。
師匠曰く肩こりには生薬で処方するとき葛根を多量に用いた。
私もそれをマネした。全症例に有効とは言えず上手には使えていない。
葛根を含まぬ二陳湯が何故効いたのだろうか。
その後再現もできていない。
実際適応も分からない。
しかしの通り察することができる。
肩こりそれは直達路であったのかもしれない。
甘草で守胃され生姜で鼓舞された胃気は正しく立ち上がる。
陳皮の降逆作用と化痰作用で解除されてた。
そこで直達路は消失。
結果肩こり症状が消えた。
そのように考えた。
大変残念なことに以前勤めていた病院のカルテであるので、参照できない。
肩への直達路説の妥当性はいつの日かこれを意識して処方し、症状を消失に至らしめたとき証明できる。
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